先月びっくりするニュースがありました。日本が誇るサッカー漫画で世界的にも大人気な漫画・アニメ「キャプテン翼」が、南米チリで裁判沙汰になったというニュースです。
どんな裁判かといいますと、チリの審査団体が女性に対する暴力的な描写があったとして、番組を放送したチリ国営放送(TVN)に2020年2月に罰金を科していたそうで、裁判ではこの時に科せられた罰金の無効を求めたものだそうです。
そもそも審査団体が問題視したのが、大空翼のライバル三杉淳が、女子マネジャーの頬を平手打ちするといったシーンで、「女性への暴力的な描写」と取り上げたようです。このシーンは、三杉が隠していた心臓の持病をマネジャーが勝手に翼に伝え、試合でわざと負けるように頼んでいた事を知って、三杉がマネジャーを叩いてしまうといった内容です。
結果的に裁判所は、支払いは不要だと判断を下しました。理由としては「(キャプテン翼は)暴力的な作品ではなく、サッカーに没頭した子ども達の進化の物語だ」などとした上で、「(三杉の)攻撃性は、マネジャーが女性だからではなく、他人の秘密やプライベートを漏らした為に生まれたものだ」としたからです。
このニュースを聞いた時には、なぜキャプテン翼が裁判沙汰に?とびっくりしたのですが、内容を確認すると、思わず「あ~~」という声がでてしまいました。多くの日本人からすると、こういったシーンはドラマやアニメでよく見るような気がします。もちろん女性を殴る事(男性に対してもですが)はよくない事ですが、理由が分かっていれば、そういったシーンを見ても問題視することはないかと思います。チリの裁判所も最終的には暴力ではないと判断した訳ですが、一部の人にとっては裁判を起こす理由になるのだと改めて知る事となったケースです。
弊社がローカライズを行う時に、日本では問題のないシーンでもターゲット国によっては、問題になると思われるシーンを見つけた場合、削除や修正をした方がいいですよとご提案しております。基本的には、政治的、宗教的、歴史的、文化的といった事になりますので、毎年内容が大きく変わるといった事はないのですが、こういった内容と併せて時代の流れで変わっていく事にも注意しなければいけないと改めて考えさせられました。最近では東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長が辞任する事となったジェンダー問題は、国によって取り組み方も違うので、そういった時代の変化にも随時対応していく為に、常に各国の取り組みなどもキャッチアップしておく必要がありますね。
ジェンダー問題といえば、以前当社でローカライズした作品に「女子力」という言葉がでてきた事があって、欧米では失礼にあたるという事で、削除するようご提案した事を思い出しました。
各国のタブーやNGワード作成も行っていますので、海外展開の際には、お気軽にご相談ください。